おんでん工房の音づくりについて。

(1). スピーカの能率について
スピーカの能率は、1Wの電力により得られる音圧のことで、dBの単位で表わされます。

このdBの値が大きいほど能率が高く、一般に大型スピーカは高能率の傾向があります。
自動車の場合、大きく重い車は、馬力のあるエンジンが必要ですが、スピーカでは、
大きくなるほどアンプ側は省電力になり、ちょうど車での傾向とは逆になります。

単位のdBは比の対数値で、電圧では6dB=2倍ですが、電力では3dB=2倍になります。
能率が87dBのスピーカが100Wの電力で得られる音圧は、90dBのスピーカでは50Wで
得られます。
さらに能率97dBのスピーカでは10Wと、87dBのものに比べて、10分の1の電力で
同じ音圧が得られることになります。
大音量で鳴らしていても、大型や高能率スピーカでは、アンプからは数100mW程度しか
出力されていないことも、しばしばあります。

大出力のアンプも容易に得られる現代、低能率や小口径スピーカでも大電力で
鳴らすことで、大音量を得ることができます。
アンプのf特(周波数特性)や歪率などの電気的特性は、スピーカのそれらよりも
けた違いに優秀で、補正もし易いので、それなりに低音も得られます。
電気的特性が優秀な分、いい音が得易い様に感じがちです。
ところが大型スピーカをゆったりと鳴らした音と比べると、音が平面的とか、画一的とか、
リアル感が得られないなどといった感想を聞くことがあります。

楽曲や楽器編成にもよりますが、たとえばチェロやウッドベース,グランドピアノなど
の低音楽器が大きいのには理由があり、特性補正だけでは得られない世界があるのでは
ないでしょうか。


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