おんでん工房の音づくりについて。

(4). トーンコントロールについて
原音再生指向というのは、入力信号を忠実に増幅し、再生させるアプローチです。
ときに完全主義的で、f特や歪率,ダンピング等をはじめ、ケーブルや試聴位置、
あたまの角度まで、とことんこだわる人もいます。
事実、これらを裏付ける理論もあり、理想とされる条件もあります。
音響スタジオや、リスニングルームの設計,システムの音質改善に、特性の測定や
理論に基づく補正は有効で、多くの功績をあげてきました。

しかしながら、音は楽しむものです。
このシステムでなければとか、この部屋のこの位置でなければなど、ときとして
窮屈に感じられます。
「いい音で聴きたい」,「特性を改善したい」という追求は、大事なことですが、
最終的には自分が満足できればいいのではないでしょうか。
数万円のワインを好む人もいれば、2,000円のテーブルワインで十分という人も
います。

すべての録音が満足できる音とは限りませんし、人により音色の好みも違います。
完全主義では、すべてフラットな特性で聴き、アンプの段数や接点、素子を増やす
ことは、まかりならんという人もいます。
名盤と呼ばれるものの多くは、この条件を満たしてくれますが、なかには、低音が
物足らないものや、高音がうるさく感じる録音もあります。
名曲と呼ばれるものでも、いい録音状態でないものもあります。

トーンコントロールは、そういった要望に、さりげなく答えてくれます。
良質な素子と吟味された回路を組み込むことで、段数を増やすことなくトーン
コントロール機能を実装できます。



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